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クリスマスの願いごと
主人公に届いたサンタクロースからの手紙。子供心がよみがえってくるようなハッピーなお話です。 |
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| ちさきの クリスマスのねがいごと あなたにおくる おはなしのほん
ますやま あつし作 |
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小林 千沙記さま メリークリスマス! これは あなたのために 特別に作られた本です。 もうすぐママになる君へ 心に残るクリスマスを贈ります 2009年12月24日 小林 慎也より |
| 「今年のクリスマスプレゼントはどうしよう?」 26歳のちさはため息をつきました。 世の中はクリスマスムード一色。 街はうきたつような空気こ包まれています。 でもちさの目下の悩みは、 栞さんと、七海さんと、佐和子さんへの クリスマスプレゼントが きまらないことなのです。 部屋に飾られたクリスマスツリーを 眺めながら、 ちさは26回目のため息をつきました。 |
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幼い頃、クリスマスの朝には、 プレゼントがいつも枕元に置かれていました。 でもは、もう自分でプレぜントを 探しにいかなければならないのです。 『電話一本、30分でお届け』してくれる、 ピザ屋みたいなサンタクロースは いないかなあ。 プレゼントのことを考えすぎて、 ちさの頭はオーバーヒート気味! そのときでした。 郵便受けがコトリ、と小さな音をたてたのは。 |
| 郵便受けをのぞくと、見慣れない模様を あしらった、一通の手紙が入っていました。 そこには消印も、大宮町の ちさの住所もありません。 ただ、『小林 千沙記様』という文字がある だけです。 封を切ったはちさは驚きました。 そこには、こんな文章があったのです。 小林 千沙記様 わしはサンタクロース。 クリスマスももうすぐじゃが、いかがお過ごしかな。 サンタクロース?? ちさの頭はいっきに真っ白になりました。 |
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サンタクロースの国は今、 クリスマスプレゼントの準備で大忙しじゃ。 なにしろ、世界中へプレゼントを 運ぶんじゃからな。 ちさはどんなプレゼントをお望みかな。 サンタクロースの国、特製クッキーは どうじゃ。 もみの樹の形をしていて、 それはそれはおいしいクッキーじゃよ。 |
| ちさはやっぱりそうかと思いました。 これは最近、近所にできたケーキ屋の、 ダイレクトメールに違いありません。 でも手紙の文章はまだまだ続きます。 プレゼントの用意ができると、 こんどはトナカイたちの準備を しなきゃならん。 金の鈴が付いたひもを、一頭一頭 つけていくんじゃ。 これがあの有名な 「ジングルベル」という曲になるんじゃよ。 |
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ちさは、信じられない、と思いました。 サンタクロースなんて架空の人物で そんな話はとっくに卒業したはずなのに・・・ でも手紙には・・・ サンタクロースなんているもんか、 と、思っておるのじゃろう。 サンタクロースを見たかったら、 クリスマスイブにサンタクロースの国に くるとよい。 世界中の国々に飛び立つサンタクロースの そりを、一般公開しておる。 |
| ちさは、またわからなくなりました。 どうやらこれはケーキ屋どころでは なさそうです。 もしかするとフライドチキンの店かも しれない!? ちさの脳裏に、小太りで、 めがねをかけ、いつもニコニコして街角に 立っている、 とあるおじいさんの姿がうかびました。 わしはみんなの視線を浴びながら そりに乗り込む。 まるでスターになったきぶんじゃ。 あたりは大騒ぎさ。 みんなの寝顔を見るのもいいが、 幸せそうな笑顔を見るのは、 もっと良いもんじゃよ。 |
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ちさはちょっとばかり想像してみました。 もし自分がサンタクロースの国に行けたら! なんてわくわくする光景なのでしょう。 そうかこれは旅行会社のパンフレット なんだ!? 「冬休みはスキーをかねて サンタクロースの国へ!!」 こんなキャッチコピーがうかびました。 みんなわしに手をふってくれておる。 いよいよ出発じゃ。忘れ物はないかな? |
| それからわしは、トナカイたちに、 「さあ、行こう!」と声をかける。 するとそりはあっというまに空の上。 空気は冷たいが、とてもよい気持ちじゃ。 いちど乗せてやりたいくらいじゃよ。 この手紙は航空会社のパンフレット かもしれない!? とちさは考えました。 北欧の空を遊覧飛行する会社なのです。 でも、ちさは高いところはちょっと苦手です。 |
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めざす家に到着すると、さあ仕事じゃ。 エントツから、といいたいところじゃが、 近頃はエントツのない家が多いから 大変じゃ。 なんとか家に入りプレゼントを置いたら、 すぐ次の子の家にいかなきゃならん。 プレゼントのリストは、 子供たちの名前でいっぱいじゃ。 こんどは警備会社のパンフレットかな? とちさは思いました。 『サンタクロースも入れない防犯装置』じゃ、 サンタクロースがかわいそうです。 |
| 目のまわるような夜を過して、 クリスマスの朝に帰ってくるころは、 もうへとへとじゃが気分はそう快じゃ。 この一夜のために、1年を過しておるからな。 わしは妻に子供たちの様子を話してやる。 あの子は今年もいい子にしておったよ、 というと、妻はとても嬉そうじゃ。 そうそう、わしはちさの、子供のときの 寝顔を見たこともあるんじゃよ。 結婚案内のパンフレットだったのか、 とちさは思いました。 でもサンタクロースにもおくさんが いるなんて! |
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クリスマスの前には、 たくさんのおもちゃを作る仕事が わしを待っておる。 家では、一日中にぎやかな音がしているが、 それはおもちゃを作る音なんじゃ。 こんどは隣町にできた 大きなおもちゃやさんかな? と ちさは考えました。 そして子供のころ、目が覚めると、 きまって枕元に置かれていた プレゼントのことを思いうかべました。 昨夜までなかったおもちゃが、 朝そこにあるのは、 とても不思議で、魔法のようでした。 |
| ちさ、 おまえさんはもうおもちゃで遊ぶ 子供ではないが、 今回のクリスマスには、 特別にプレゼントをあげることにしょう。 はてさて、何だと思うかね? この手紙を最後まで読んで くれればわかるが、 それはまだ秘密じゃ。 |
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そそろそろたくさんのプレゼントが、 きれいに包まれて、いろんな国に 旅立つところじゃ。 サンタクロースのプレゼントというもんは ただおもちゃを包んでいるだけではないぞ。 その中には、夢だの、希望だの、 感謝だの、愛情だのといった 気持ちがいっぱいつまっとる。 子供たちは、プレゼントをあけたとき、 その気持ちも一緒に受取ることになるんじゃ。 もちろん、ちさや 栞さんと、七海さんと、佐和子さんへの プレゼントにも入っておるとも。 |
| さあ、いよいよ出発じゃ。 わしはおなじみの赤い服を着る。 北極の空の凍るような寒さも 気にならんような、 完全防寒仕様じゃ。 プレゼントをつめた大きな袋をソリに乗せ、 たくさんの子供たちに会えるのも もうすぐじゃ。 外はもう、しんしんと雪がふっておる。 ちさ、おまえさんへのプレゼントは、 小林 慎也にあずけておいた。 ま、楽しみにしておれ。 |
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わしは空をひとっ飛び。 |
| 「メリークリスマス!」 ちさは、 栞さんと七海さんと佐和子さんへの プレゼントを選びにコートをはおると、 楽しそうに出かけて行きました。 ポケットには、サンタクロースからの手紙が 入っています・・・ |